歯科の安定的経営に不可欠な「自費診療」。説明さえすれば患者さんが自費を選んでくれるとも限りません。また、患者さんの属性によって話すポイントやキッカケが異なります。
しかし、院内だけで患者さんと接するのでは、どんな性格やどんなことに興味があるかはわかりにくいものです。そこで一番わかりやすいのが「性別」と「年代」です。
歯科では年齢や性別とその方々のニーズが関係性が高く、患者さんによってアプローチ方法を変えることができます。
「4つパターン」に分けて考えていきましょう。
- 若い男女
- 中高年の女性
- 中高年の男性
- 高齢者
今回は若い(20~30代)男女のアプローチ方法についてお教えします。
「中高年の女性」 については下記をご覧ください。
「中高年の男性」、「高齢者」については別の記事でお伝えしていきます。記事が完成次第リンクさせていただきます。
目次
若い男女の「歯」の関心とは
「若い男女の患者さん」では気にしていることはある程度決まっています。
- 予防の話
- 審美、ホワイトニングなど見た目の話
- 支払方法について(デンタルローンなど)
大きく言えばこのようなことです。
基本的には若い方は「歯を長く持たせたい」、「綺麗になりたい」というニーズが強いです。
特に若い女性は「キレイ」というフレーズにとても敏感です。別の主訴で来院されているのにカウンセリングなどで面と向かって審美やホワイトニングの話しをすると違和感を感じるかもしれませんが、「自然と…」、「さりげなく…」このような情報を目に付くところに出すということはとても効果的です。
動画を使った情報提供
患者さんの理解を促し、効果があるのは何といっても「動画」でしょう。私はいろいろな歯科医院に訪問することが多いのですがここ数年で歯科情報を流している歯科医院は急速的に増えています。
でもそれってどんな動画?って思うか方も多いかもしれませんが次のようなものが多くの歯科で行っていることです。
- コンサルタントやメーカーから提供された動画を流す
- TV番組の歯科情報の特集などを録画したものを流す
- 自作の動画を流す
- 歯科専用のデジタルサイネージのコンテンツ
- 映像制作会社へ依頼して独自の動画を流す
内容に関してはいろいろありますが、「若い男女」に関していえば見た目の変化についての「Before・After]を見せるのが効果的です。「白い歯になると魅力が上がる」、「矯正をすると歯並びだけでなく輪郭も変わる」などといった見た目のことを伝えるのがいいでしょう。
流す場所は比較的待ち時間の長い、「待合室」や「チェアサイド」で流すのがいいでしょう。民放などのTVを流すことで待ち時間対策になっても患者さんの意識や知識が上がることはないでしょう。また、最近はとてもおしゃれで綺麗な外観・内観の歯科が増えてきていますが、その雰囲気に民放のテレビ番組を流しているとどうも「下品」に思えてしまいます。
時々、「テレビ番組を流さないと怒る患者がいる…」とおっしゃる先生がいらっしゃいますが、本当にそのような患者さんに照準を合わせるべきなのでしょうか。歯科に来ているのであれば、テレビ番組など見ずに歯科のことに集中してくれる患者さんだけを残せばいいのではないでしょうか。たった30分~60分足らずの時間です。
ユニットには限りがありますので質のいい患者さんには通院していただき、前述のような患者さんはどこか別の歯科に行ってもらったほうが今後の安定的な歯科経営つながります。
動画で行うデジタルカウンセリングに関してはこちらの記事をご覧ください
ポスターや張り紙などで情報提供
動画を流すのはハードルが高いと感じる方はポスターなどの張り紙はいかがでしょう。審美やホワイトニングのこの手の掲示物はメーカーなどがきれいなものを作っているので比較的簡単に始められます。
デメリットは?
やはり、貼ってあるだけなのでなかなか見てくれる頻度が少ないです。何もしないよりはやったほうがいいですが、あまり高い効果を期待して始めると納得の効果は得られません。
景観に関してもあまり掲示物をベタベタ張ってしまうと院内が汚く見えてしまいます。できれば張り紙などは少なくして本当に伝えたいことが記載されたものを目立つ場所に張りましょう。
リーフレットを渡す
歯科素材に関するリーフレットを渡すというのも1つの方法です。渡すタイミングとその内容には少し工夫が必要です。
時々、独自で作ったリーフレットを渡している先生もいます。独自で作ったものなので医院の考え方が踏襲されており扱いやすいのは事実です。
作るまでが大変ですが、一度作ってしまえばあとは印刷するだけです。
予防の話し
歯を治療する場合、どんな「治療」や「素材」が長持ちするのか…
2次カリエスのリスクや、これから長い人生の中でどのように自分の歯を長持ちさせるかという点をしっかり説明してあげることが重要です。
ひと昔前と違って、最近の患者さんは最低限の情報をインプットさせればインターネットを使って勝手に調べてくれます。
例えば補綴であれば、2次カリエスの発生頻度、素材によっての耐久性や生体親和性などの結果だけ伝えれば患者さん自身でいろいろな情報を自ら取りに行ってくれるはずです。
時々、自費を批判するような記事もあるかもしれませんが、それは仕方ないことです。何もせずに保険になってしまうよりも、情報を提供しそれを患者さんが検索して、見た内容が自費を推奨する内容であれば自費診療を選択することとなります。
このようなことを踏まえたうえで補綴カウンセリングに臨めば自費診療の契約率は上がってきます。なにはともあれ患者さんにどんな手段だとしても情報を伝えることが一番重要です。
審美、ホワイトニングなど見た目の話
若者は、人にもよりますが先生方が考えている以上に見た目を気にするものです。美容などで莫大なお金を使うことがそれを物語っています。
予防や長持ちの話題で理論的にメタルフリーのメリット(もちろんデメリットも)を伝え、見た目のことで「背中をポンと押してあげる」ようなタイミングが好ましいです。
何も、背中を押してあげなくても、
「保険だと銀歯が笑った時に見えちゃいますけどそれでもいいですか?」程度の見た目の確認だけでも構いません。一歩踏み込むのであれば、「銀歯が見えるだけでちょっと老けて見えちゃう可能性もありますよ…」というのを付け加えるのも有効的です。まずは患者さんに「ちょっと考えさせてほいい」と思わせることが大切で、そこからお財布事情と相談して決めるのは患者さん本人です。
支払方法について(デンタルローンなど)
自費診療となると何十万円単位と高額な治療費となることも珍しくありません。例えば…
(心の声)支払いどうしよう・・・
若い世代の患者さんだと貯蓄をちゃんとしている方のほうが少ないので、初めからローンを前提でお話してあげるといいでしょう。
例えば・・・
〇〇さんくらいの年代の方はローンを組まれる方も多いですよ。最近はデンタルローンの利率がとっても安いのでクレジットカードの分割払いよりもお得なんですよ。
26万だと24回払いで月々 12,000円くらいですけど、お支払いの予定はいかがですか?
といった感じで「月々の支払い額」を伝えてあげて支払いをリアルな感覚にする。また、多くの方(同年代の)がローンを組んでいるという安堵感を与えることが大切です。
私もそうですが、なかなかこちらから「ローンで…」と言い出すことはなかなか言い難いことです。ローンを組むことは特別なことではないということを伝えて自費の成約につなげていただければと思います。
金額はどのくらいになりますか?